Windows 11の最新累積更新プログラム「KB5068861」は、セキュリティの強化と新機能の追加を含む重要なアップデートです。
ただし、ユーザーの一部からは「アップデートが終わらない」「エラーが出る」といった不具合の声も挙がっています。
本記事では、KB5068861のリリース情報や追加された新機能、不具合の詳細とその対策方法までを、初心者にもわかりやすくまとめています。
インストールがうまくいかないときの原因と対応方法を知っておくことで、無駄な時間を減らし、より安全で快適なPC環境を維持できます。
更新が気になる方や、トラブル回避のポイントを事前に知っておきたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
KB5068861とは?|Windows 11の累積更新プログラム概要

KB5068861は、2025年11月にリリースされたWindows 11の最新累積更新プログラムです。
主な対象は24H2および25H2のバージョンです。
KB5068861のリリース日と対象バージョン
KB5068861は2025年11月11日に公開され、Windows 11のバージョン24H2および25H2を対象に提供されています。
これらのバージョンは、法人向けを除いたほとんどの一般ユーザーの環境に該当します。
自動更新が有効な端末では、数日以内に順次インストールが進む仕様になっています。
企業ネットワーク環境下では、更新ポリシーによって配信タイミングに差が出る点も注意が必要です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| リリース日 | 2025年11月11日 |
| 対象バージョン | Windows 11 24H2 / 25H2 |
| 配信形態 | 自動更新(段階的配信) |
累積更新プログラムの特徴と目的
累積更新プログラムとは、過去に配信されたすべての修正パッチをまとめて含むアップデートです。
これにより、OSの安定性やセキュリティレベルを最新状態に維持できます。
特にKB5068861では、脆弱性の修正だけでなく、操作性向上のための新機能追加も含まれており、利用者体験の向上が目的となっています。
また、ゼロデイ脆弱性に対応したセキュリティパッチが含まれているため、適用の優先度は非常に高いといえるでしょう。
主な目的:
- システムの安定性向上
- セキュリティ強化
- 新機能の追加(UI改善など)
セキュリティ修正とゼロデイ脆弱性の対応(CVE-2025-62215)
KB5068861で最も注目されているのが、ゼロデイ脆弱性「CVE-2025-62215」への緊急対応です。
この脆弱性は、悪意のあるユーザーが管理者権限を不正に取得できる恐れがある深刻な問題でした。
Microsoftはこの脅威に対処するため、本アップデートで早急な修正を実施しています。
加えて、63件に及ぶその他のセキュリティ脆弱性にも対応しており、攻撃リスクを大きく低減しています。
セキュリティパッチの適用は、サイバー攻撃からの防御において最も基本的で効果的な手段です。
修正概要:
- CVE-2025-62215:特権昇格の脆弱性(ゼロデイ対応)
- その他の一般的な脆弱性:63件修正
- セキュリティレベル全体の底上げを実現
KB5068861の主な新機能|スタートメニューやCopilotの進化
今回の更新では、見た目や操作性にも変化があり、使いやすさの向上が図られています。
中でもスタートメニューやAI機能の進化が注目されています。
UI変更:スタートメニューの操作性向上
スタートメニューでは、従来の「すべてのアプリ」表示が刷新され、スクロール操作のみで全アプリを確認できるようになりました。
画面サイズに応じた自動調整機能も追加され、ナビゲーション効率が向上しています。
アプリはカテゴリごとに自動で分類され、視認性も高まっています。
この変更により、複数のアプリを管理するユーザーにとっては操作の手間が大幅に減少します。
改善ポイント:
- スクロール表示でアプリ一覧が見やすく
- 画面サイズに応じたレイアウト最適化
- アプリの自動分類で視覚的な整理が容易に
バッテリーアイコンの新デザインと残量表示
タスクバーのバッテリーアイコンも刷新され、状態によって色が変わるようになりました。
たとえば、充電中は緑、節電モード時はオレンジ、残量が6%未満のときは赤で表示される仕様です。
さらに、設定を有効にすればバッテリー残量のパーセンテージが常時表示され、バッテリー管理がしやすくなります。
モバイル環境での利便性が向上し、残量切れによるトラブル回避にも役立ちます。
変更点まとめ:
- 状態ごとの色分け表示(緑・オレンジ・赤)
- 残量の常時パーセント表示機能
- 視覚的なバッテリー管理が可能に
Copilotと音声アクセス機能の日本語対応
AIアシスタント「Copilot」がさらに進化し、画面上の要素を直接選択して指示を出せるようになりました。
さらに、音声アクセス機能が日本語に完全対応し、声だけで操作や入力が可能になります。
これにより、操作のハードルが下がり、特に手が使えない場面や視覚的な操作が困難なユーザーにとっては大きなサポートになります。
日本語環境に最適化されたことにより、国内ユーザーにとっての実用性が格段に向上しました。
主な改善点:
- 画面選択から直接AIにプロンプト指示が可能に
- 音声操作が日本語でスムーズに実行できる
- アクセシビリティ向上に貢献
KB5068861の不具合情報まとめ|ユーザー報告と公式の見解

新機能が追加された一方で、アップデートに伴う不具合の報告もいくつか見られます。
実際のユーザー体験と公式情報をもとに整理します。
「インストールが進まない」原因と発生条件
KB5068861では、「アップデートが0%から進まない」といったトラブルが報告されています。
主な原因としては、ストレージ不足やネットワーク接続の不安定さ、バックグラウンドで動作するアプリの影響などが考えられます。
特に、Windows 11 バージョン24H2環境での発生率が高い傾向にあります。
セキュリティソフトの一時停止やクリーンブートによって解消されるケースも少なくありません。
チェックポイント:
- 空き容量を確保(最低10GB推奨)
- Wi-Fi接続の安定化
- セキュリティソフトの干渉を確認
再起動ループや更新が終わらない現象
アップデート後に再起動を繰り返したり、インストールが完了しないまま停止してしまう現象も報告されています。
これは更新ファイルの破損や、インストール中の予期しないエラーが原因とされます。
解決策としては、セーフモードでの再起動、更新のアンインストール、またはWindows Updateトラブルシューティングツールの使用が推奨されます。
電源を強制的に切る行為はシステム破損のリスクがあるため避けるべきです。
主な対応策:
- 「前のビルドに戻す」機能の使用
- セーフモードでの復旧手順実行
- 不要な周辺機器の一時取り外し
一部アプリやゲームで発生する表示バグ
一部のゲームや動画再生アプリにおいて、画面が赤みを帯びるといった表示バグも確認されています。
これは以前にも報告されていたGPUドライバとの互換性問題が一部再発したものとみられています。
最新のグラフィックドライバに更新することで、多くの場合は正常に表示されるようになります。
特にゲーミングPCや高負荷な作業を行うユーザーは、グラフィック設定やドライバ管理に注意が必要です。
対策ポイント:
- GPUドライバを最新版に更新
- 一時的に表示設定を変更
- ゲームごとのパッチ適用状況を確認
Microsoft公式で確認された既知の問題点
Microsoftの公式ドキュメントでも、KB5068861適用後に発生する既知の問題が2点確認されています。
1つ目は、一部のVPN接続で認証エラーが発生する件。
もう1つは、特定のプリンターで印刷設定が初期化されてしまうという不具合です。
これらは致命的ではないものの、業務で使用する環境では事前に対策を講じておく必要があります。
VPNクライアントやプリンタードライバの更新が主な解決方法とされています。
公式の既知の問題:
- VPN接続の認証失敗 → クライアント更新
- 印刷設定の初期化 → 設定の再登録または再インストール
- システムバックアップの推奨
KB5068861がインストールできない・止まる時の対処法
アップデートが止まるときは、環境や設定に原因があるケースが多く、いくつかの基本的なチェックが解決の鍵になります。
ストレージ容量不足やネットワーク不安定時の対策
インストールが始まらない、途中で止まるといった現象は、空き容量不足やネットワークの不安定さが原因である場合がよくあります。
KB5068861は数GBの容量を必要とするため、最低でも10GB以上の空きが望ましいです。
加えて、Wi-Fiの不安定な接続はダウンロードエラーを引き起こす要因にもなります。
特にモバイル回線を使用している場合は、有線LANへの切り替えを推奨します。
対処法チェックリスト:
- 「ディスクのクリーンアップ」で一時ファイル削除
- 使用していないアプリのアンインストール
- ルーターの再起動・有線接続の検討
- セキュリティソフトの一時停止
エラーコードの意味とトラブルシューティング方法
Windows Update中に表示されるエラーコードには、それぞれ原因と対処方法があります。
たとえば「0x800f081f」は更新ファイルが見つからないことを示し、「0x80240034」はインターネット接続不良を意味します。
エラーが出た際は、まずコードを控えてMicrosoft公式ページやサポートフォーラムで意味を確認するのが効果的です。
その上で、トラブルシューティングツールの使用やキャッシュの削除を行うと改善されることが多くあります。
よくあるエラーコードと対応策:
| エラーコード | 原因 | 対処法 |
|---|---|---|
| 0x800f081f | 必要な更新ファイルが不足 | Windows Updateトラブルシューティングを実行 |
| 0x80240034 | 接続不良や破損キャッシュ | ネット接続確認+キャッシュ削除 |
| 0x80070002 | 日付・時刻のズレによる失敗 | システム時刻の修正 |
更新が途中で止まる・失敗する場合のチェックリスト
アップデートが50%や70%といった中途段階で止まる現象も散見されます。
これは、バックグラウンドアプリとの競合、USBデバイスの接続、または古い更新データが悪影響を与えている可能性があります。
以下のチェック項目をひとつずつ確認することで、原因を特定しやすくなります。
特にWindows Updateコンポーネントの破損が疑われる場合は、リセットが有効な手段です。
確認すべきチェックポイント:
- 外部ストレージ・USB機器をすべて取り外す
- バックグラウンドの不要プロセスを停止
- 一時ファイルと更新キャッシュの削除
- 管理者権限での再試行
上級者向けのWindows Updateリセット方法

通常の方法でうまくいかない場合、更新コンポーネントを手動でリセットする方法があります。
これはやや高度ですが、効果は非常に高いです。
SoftwareDistributionフォルダのリセット手順
Windows Updateの一時ファイルは「SoftwareDistribution」フォルダに格納されています。
このフォルダが破損すると、更新が適用できなくなるケースがあります。
コマンドプロンプトを管理者として実行し、Windows Update関連サービスを一時停止したうえでフォルダをリネームすることで、キャッシュをリセットできます。
手順概要:
- コマンドプロンプト(管理者)を起動
- 以下のコマンドを入力:
net stop wuauserv
net stop bits
ren C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
net start wuauserv
net start bits
- PCを再起動して再試行
catroot2のリネームと再構築方法
catroot2フォルダは、Windowsのデジタル署名に関する重要なファイルを管理する場所です。
このフォルダが破損していると、アップデートの署名検証に失敗してエラーが発生することがあります。
SoftwareDistributionと同様、フォルダのリネームで再構築が可能です。
こちらもサービスの一時停止が必要になります。
実行手順:
- コマンドプロンプト(管理者)で以下を入力:
net stop cryptsvc
ren C:\Windows\System32\catroot2 catroot2.old
net start cryptsvc
- 更新の再実行前にPCを再起動
注意点として、catroot2は削除ではなくリネームに留めることが安全です。
PowerShellスクリプトによる一括修復方法
上記の操作を一つひとつ行うのは面倒という場合、PowerShellスクリプトを活用すれば一括で実行できます。
この方法は特に複数のPCをメンテナンスする管理者向けですが、個人ユーザーでもコピペで簡単に使用できます。
PowerShellスクリプト例:
Stop-Service -Name wuauserv -Force
Stop-Service -Name bits -Force
Rename-Item C:\Windows\SoftwareDistribution SoftwareDistribution.old
Rename-Item C:\Windows\System32\catroot2 catroot2.old
Start-Service -Name wuauserv
Start-Service -Name bits
このスクリプトを「メモ帳」に貼り付けて「.ps1」形式で保存し、PowerShell(管理者)から実行すれば、更新関連のリセットが一括で完了します。
KB5068861アップデート後の確認事項と注意点
更新が無事に完了したら、いくつかのポイントを確認しておくことで、不具合を未然に防げます。
適用後に確認すべきビルド番号と更新履歴
まず最初に確認しておきたいのは、KB5068861が正しくインストールされているかどうかです。
これは「winver」コマンドを使えば、現在のWindowsビルド番号を確認できます。
今回のアップデートでのビルド番号は「22635.2787」となっているため、それと一致していれば適用成功です。
また、設定画面の「更新の履歴」からも確認可能です。
確認手順:
- 「Windowsキー+R」で「winver」を入力
- 設定 → Windows Update → 更新履歴を確認
周辺機器(Bluetooth・印刷など)の動作確認
アップデート後にBluetooth接続ができない、プリンターが認識しないといった周辺機器の不具合も稀に起こります。
特にUSB機器やドライバが古い場合は、更新により互換性の問題が出ることがあります。
こうしたトラブルを避けるには、事前に最新ドライバをインストールしておくのが理想的です。
動作確認すべき周辺機器:
- Bluetoothイヤホン・マウス
- Wi-Fiルーター
- USB接続のプリンター
- 外付けHDDやSSD
スタートメニューや新機能が反映されない場合の対処
更新後すぐにスタートメニューの変更やCopilotの音声機能が使えない場合もあります。
これは一部の機能が「段階的に配信」されているためで、時間が経過することで反映されるケースがほとんどです。
ただし、システムファイルが破損している場合は手動で修復が必要になることもあるため、念のため「sfc /scannow」コマンドでチェックしておくと安心です。
対処方法:
- 「Windowsキー+X → ターミナル(管理者)」でコマンド実行
- Windows Updateの再確認と再起動
- 数日待って自動反映を待つ
まとめ
KB5068861は、セキュリティ強化と操作性向上の両面で非常に重要なアップデートです。
ゼロデイ脆弱性(CVE-2025-62215)への対応や、Copilotの日本語対応といった機能面の進化は、ユーザー体験を大きく変える可能性があります。
一方で、インストール時に不具合が発生するケースもあるため、事前にトラブルシューティングの知識を身につけておくことが安心につながります。
万が一不具合が起きても、今回紹介した対処法を順番に実践すれば、ほとんどのケースで問題は解決可能です。
更新後も確認すべきポイントを押さえておくことで、安心してWindows 11を活用できるでしょう。

