2025年4月のWindows Updateで配信された「KB5055518」は、Windows 10ユーザーにとって非常に重要な更新プログラムです。
今回のアップデートでは、セキュリティ面の強化を中心に、いくつかの不具合修正や新機能の追加が行われました。
一方で、一部の環境ではインストールが失敗したり、エラーメッセージが表示されたりといったトラブルも報告されています。
この記事では、KB5055518の概要から修正点、既知のバグまでをわかりやすく解説し、ユーザーが安心してアップデートできるようサポートします。
KB5055518とは？｜アップデートの概要と目的
KB5055518は、Windows 10の最新バージョンに向けたセキュリティ更新と機能改善を目的とした累積的なアップデートです。
Windows 10バージョン21H2および22H2対応
今回のアップデートは、Windows 10のバージョン21H2および22H2を対象としています。
これらのバージョンは現在も広く使用されており、セキュリティの維持が重要視されています。
そのため、脆弱性の修正と安定性の向上が優先されました。
特に企業ネットワーク環境では、これらのバージョンの継続的なメンテナンスが欠かせません。
セキュリティ強化と品質改善が主な内容
KB5055518では、Windows Defenderやカーネルドライバの脆弱性に対応するパッチが含まれており、サイバー攻撃への防御性能が高められました。
さらに、ファイルエクスプローラーの動作安定性や、クラッシュしやすいUI要素の修正など、日常的な使用感の改善も盛り込まれています。
これにより、ユーザーの作業効率やシステム信頼性の向上が期待されています。
旧アップデート（KB5053643）の統合内容も反映
KB5055518には、先行して配信されていたKB5053643の内容も統合されています。
これには、USB接続のプリンターで発生していた印刷トラブルの修正や、レガシーシステムとの互換性向上が含まれています。
従来の累積更新の形式と同様に、過去の修正内容もまとめて適用されるため、過去の問題を未解決のままにせず一括で対応できる利点があります。
KB5055518で修正された主な不具合・改善点
アップデートにより、日常的に使用される機能やデバイスに関する複数の不具合が修正されました。
USBプリンターの印刷エラー修正
以前のアップデートでは、一部のUSBプリンターが正常に動作しないという報告が多数寄せられていました。
KB5055518では、この問題に対するパッチが適用され、印刷ジョブの途中で停止する現象や異常なエラーメッセージの表示が改善されています。
また、プリンタードライバーとの互換性向上も行われており、企業環境でも安定した印刷処理が可能になりました。
タスクバーの検索バー動作の改善（EEA向け）
ヨーロッパ経済領域（EEA）内のユーザー向けに、検索バーの挙動が見直されました。
これにより、Microsoft Edge以外の既定ブラウザでもウェブ検索結果が開けるよう最適化されています。
検索機能の自由度が高まり、ブラウザの選択に柔軟性が生まれました。
EUのデジタル市場規則（DMA）への準拠を目的とした変更とも言えます。
サムネイルクラッシュ・一時ファイル保存の最適化
エクスプローラー上で画像や動画のサムネイルがクラッシュして白い表示になる不具合が修正されました。
また、一時ファイルが不適切なディレクトリに保存される問題も改善され、システムの安定性が向上しています。
これにより、ファイルアクセスの速度やアプリケーションの動作信頼性が強化されました。
Noto CJKフォントの追加提供
多言語対応の一環として、Noto CJKフォントがWindows標準フォントとして追加されました。
これにより、中国語、日本語、韓国語を含む文書の表示品質が統一され、国際的な文書作成環境での互換性が高まりました。
フォントエンジンの最適化も図られており、アプリケーションの描画処理もよりスムーズになります。
知っておきたい！KB5055518で発生中の既知のバグ
アップデートには既知の不具合も含まれており、特定環境では注意が必要です。
Citrix Session Recording Agentによるインストール失敗
Citrix Session Recording Agentバージョン2411を導入している環境では、アップデートの適用が正常に完了しない不具合が報告されています。
インストール後の再起動時に適用処理が失敗し、ロールバックが発生するケースがあります。
MicrosoftとCitrixは現在、この問題に対する恒久的な修正策を検討中です。
SgrmBroker.exeのイベントビューアーエラー
2025年1月15日以降のアップデート適用後、一部のシステムで「SgrmBroker.exe」に関連するエラーがイベントビューアーに表示されることがあります。
これはSystem Guardのランタイムモニターに起因するログ出力であり、実害やセキュリティ上の問題は確認されていません。
Microsoftはこのログを抑制するための手順も公開しています。
その他予期しない動作に関する注意点
一部の環境では、アップデート後にソフトウェアの互換性に関する問題が発生する可能性があります。
特に古いドライバーや非対応のアプリケーションを使用している場合は、注意が必要です。
また、システムのパフォーマンスに影響を与える例も報告されており、重要な作業の前にはバックアップを取ってから適用することが推奨されます。
KB5055518のアップデートが終わらない・進まないときの対処法
KB5055518のインストールが途中で止まったり失敗した場合は、いくつかの確認事項と対処手順を順番に試すことが有効です。
アップデート中に強制終了しない重要性
アップデート処理中は、電源の強制遮断や再起動を避けることが重要です。
中断によってシステムファイルが破損するリスクが高まり、最悪の場合OSの起動すら困難になるケースがあります。
アップデート中は時間がかかっても一定時間待つことが基本です。
インストールが長時間進まない場合は、まず原因を特定する手順を冷静に行いましょう。
対処法1：インターネット接続の確認と改善
アップデートには安定したインターネット接続が不可欠です。
Wi-Fi環境が不安定な場合は、有線LANを使用することでダウンロードの失敗を防げます。
また、ルーターの再起動や、VPN接続の一時解除も有効な対策です。
ダウンロードが途中で止まる現象はネットワーク帯域やDNS設定に起因することもあるため、通信状態の見直しがポイントとなります。
対処法2：Windows Updateトラブルシューティング
Windowsには専用のトラブルシューティングツールが標準搭載されています。
このツールを実行することで、更新プログラムの検出や適用に関する問題を自動的に診断・修正できます。
手順としては、設定画面の「更新とセキュリティ」から「トラブルシューティング」に進み、「Windows Update」を選択してください。
多くの軽微な不具合はこれで改善される場合があります。
対処法3：セキュリティソフトの一時停止
セキュリティソフトがアップデートの通信や適用プロセスを妨げることがあります。
特にサードパーティ製のウイルス対策ソフトは、Windows Updateの一部処理をブロックするケースが報告されています。
アップデートを試みる際は、対象ソフトのリアルタイム保護を一時的に停止してください。
ただし停止中のセキュリティリスクを理解し、完了後は必ず元に戻しましょう。
対処法4：手動インストールまたは再起動の実施
Windows Updateが保留中または途中で止まっている場合、手動でのインストールを試すことが有効です。
Microsoft UpdateカタログからKB5055518を直接ダウンロードし、インストーラを実行する方法があります。
また、単純な一時エラーで止まっているケースでは、PCの再起動を行うだけで正常にアップデートが再開される場合もあります。
対処法5：サービス再起動・コンポーネントリセット
アップデート関連サービスが停止している、または構成ファイルが破損していると、正常な更新が行えません。
サービス管理ツールから「Windows Update」「BITS」「Cryptographic Services」などを手動で再起動しましょう。
また、コマンドプロンプトを用いたWindows Updateのコンポーネントリセットも、深刻な更新エラーの修復手段として有効です。
手順を間違えないよう注意しながら操作してください。
対処法6：セーフモードでのアップデート試行
通常起動では干渉するアプリケーションやサービスが原因で、アップデートが失敗することがあります。
セーフモードで起動することで、最小限の構成でシステムを立ち上げ、干渉要因を排除した状態でアップデートを実行可能です。
セーフモードは起動オプションから選択でき、トラブルが解決する確率が高まるため、最終手段としても有効です。
KB5055518に関するよくある質問（FAQ）
ユーザーから寄せられる代表的な疑問に対し、技術的な観点からわかりやすく回答します。
イベントビューアーのエラーは無視していい？
「SgrmBroker.exe」に関するイベントビューアーのエラーは、システムガード関連サービスが実行されていないために表示されるものです。
このログは情報目的のものであり、動作やセキュリティに悪影響を与えるものではありません。
Microsoftもこのエラーについて無視して問題ないと明記しています。
どうしても気になる場合は、ログの抑制設定を行うことも可能です。
手動でのアップデート方法は？
Microsoft UpdateカタログからKB5055518を検索し、対応するWindowsのバージョンに合わせてアップデートファイル（.msu）をダウンロードします。
その後、ダブルクリックで実行すれば手動インストールが可能です。
また、管理者権限のコマンドプロンプトで「wusa」コマンドを使用する方法もあります。
自動更新に問題がある場合の有効な代替手段です。
今後の修正パッチは予定されている？
KB5055518に関する既知の問題に対して、Microsoftは修正パッチの開発と配布を継続的に行っています。
Citrix環境における不具合や軽微なUIエラーなどは、今後の累積的更新プログラムにて段階的に解消される見込みです。
公式のサポートページやWindowsリリース情報を定期的に確認することで、最新の対応状況を把握できます。
まとめ
KB5055518はセキュリティの強化とシステム品質の改善を目的とした重要なアップデートですが、一部の環境では適用に支障が出る可能性があります。
今回紹介したような既知のバグや対処法を事前に知っておくことで、アップデートのトラブルを最小限に抑えることができます。
特に業務利用のPCでは慎重な検証が求められます。
万が一不具合が発生しても、冷静に対応策を実行すれば解決へとつながります。
