Windows 11 Version 24H2の利用者に向けて、2025年5月に公開されたKB5058411は、セキュリティ強化と新機能の追加、ならびに多くの不具合修正を含む重要な累積更新プログラムです。
Copilot+ PC向けに導入されたAI機能「Recall」や「Click to Do」、さらにAIによる検索強化など、作業効率や利便性が格段に向上する内容となっています。
加えて、ブルースクリーン(BSOD)や音声トラブルなど、ユーザーの利便性を妨げていた問題にも対応しており、安定性とパフォーマンスの両面で改善が図られています。
本記事では、KB5058411のアップデート内容、修正されたバグ、導入された新機能について詳しく解説していきます。
KB5058411とは?Windows 11の重要な累積更新プログラム

この更新プログラムは、Windows 11の安全性と快適性を高めるために提供された公式な累積アップデートです。
KB5058411のリリース日と概要
KB5058411は、2025年5月14日にMicrosoftからリリースされました。
この累積更新には、過去のアップデート内容もすべて含まれており、一括で最新状態に保つことができます。
セキュリティ修正、AI機能の追加、既存機能の改善などが含まれています。
Windows Update経由で自動的に適用される形となっており、特に企業環境では重要なメンテナンス対象です。
対象となるOSとバージョン:Windows 11 Version 24H2
このアップデートの対象は、Windows 11の新バージョンである24H2です。
これは2025年上半期に公開されたメジャーアップグレードにあたります。
対象バージョンではAI活用やシステム最適化が強化されており、それに対応する形でKB5058411が設計されています。
企業用PCから一般家庭のノートパソコンまで、幅広い端末に適用可能です。
Build番号26100.4061への更新とは
KB5058411を適用することで、OSのビルド番号は26100.4061に更新されます。
このビルドはセキュリティパッチの統合に加え、AI関連APIの安定性向上が図られた重要バージョンです。
また、バックグラウンドでのパフォーマンス改善も行われており、アプリケーション互換性の面でもメリットがあります。
現在のビルドを確認するには、[設定]→[システム]→[バージョン情報]から確認できます。
KB5058411で追加された新機能まとめ
今回の更新では、従来の修正に加えてAIを活用した新機能がいくつか導入されました。
Recall(プレビュー)機能の概要と使い方
Recallは、作業履歴を自動で記録し、後から検索可能にするAI機能です。
たとえば以前見たドキュメントやウェブページを、自然言語で検索することで呼び出すことができます。
この機能はPC上のユーザー行動を画像スナップショットとして保存し、時系列で可視化します。
プライバシー保護のため、Windows Helloによる本人確認が必要で、手動で有効化する形式となっています。
Click to Doの操作性と活用シーン
Click to Doは、Windowsキー+Qなどのショートカットを使い、画面上の画像やテキストをすぐに編集・転送できる新機能です。
作業中に気になった情報を即座に他アプリへ共有したり、コピーペーストを効率化できます。
主にデジタルワークフローの最適化を目的としており、UX(ユーザーエクスペリエンス)向上に貢献しています。
編集作業が多い業務環境では特に有用です。
AI強化によるWindows Searchの進化
KB5058411では、Windows SearchがAIによって強化され、より自然な検索語に対応できるようになりました。
ファイル名を正確に覚えていなくても、「先週の会議資料」などの表現で目的のファイルを探せます。
また、OneDrive上のファイル検索も対象となり、クラウド連携機能が強化されています。
NLP(自然言語処理)エンジンが統合されている点も注目です。
Phone Linkやエクスプローラーの改善点
Phone Linkは今回のアップデートでスタートメニューから直接起動できるようになり、スマートフォンとの連携がさらに簡単になりました。
加えて、ファイルエクスプローラーではZIPファイルの展開速度が向上し、ショートカットアイコンの背景色も削除されました。
視認性と操作性が改善されたことで、日常のファイル管理がよりスムーズになります。
KB5058411で修正された主なバグと問題点

アップデートにより多くの既知バグが修正され、ユーザーの不満点が大幅に軽減されました。
マイクの予期せぬミュート問題の修正
オンライン会議中にマイクが意図せずミュートされる不具合が、今回のアップデートで修正されました。
この問題はビジネスや教育現場での支障となっており、音声通信機能の信頼性に影響を与えていました。
更新により、音声ドライバーとミュート制御処理が最適化され、再発率が大きく下がっています。
音声チャットやWeb会議が多い環境では、特に恩恵が大きい修正点です。
Eye Controllerアプリ起動不良の修正
障がい者支援ツールであるEye Controllerが起動しない問題も改善されました。
この不具合は一部のアシスティブテクノロジーユーザーに深刻な影響を与えており、アクセシビリティ向上の観点からも早急な修正が求められていました。
KB5058411では起動処理の整合性が見直され、Windowsアクセシビリティ機能との連携性も改善されています。
エラーコード0x80240069の解消
一部の企業ネットワーク環境で発生していた、Windows Updateのエラーコード0x80240069が解消されました。
これは主にWSUSを利用する環境で確認されており、アップデート処理が途中で失敗する原因となっていました。
今回の修正により、アップデートの適用率と安定性が大幅に改善され、システム管理者の負担も軽減されると見込まれます。
ブルースクリーン(BSOD)関連の安定性向上
特定の条件下で発生していたブルースクリーン(BSOD)エラーが、いくつかのケースで修正されました。
特にスリープ復帰時やネットワークドライブへのアクセス時に発生していた不具合が対象です。
加えて、GPUの検出エラーやファイルシステムの整合性問題にも対応が施されました。
これにより、システム全体の安定性が向上し、再起動頻度も低下しています。
KB5058411の既知の問題と注意点
アップデートには多くの利点がありますが、適用後に一部環境で問題が報告されています。
事前に確認しておきましょう。
ARM版デバイスでのRoblox利用不可
ARMアーキテクチャのデバイスにおいて、Microsoft Store経由でRobloxをインストールできない問題が確認されています。
この不具合はKB5058411適用後に報告されており、Storeからのダウンロードが正常に完了しない事例が多発しています。
ただし、Roblox公式サイトから直接インストーラーを取得することで回避可能です。
ARM64対応状況が関係しているとみられ、今後のパッチでの修正が期待されます。
Citrix Session Recording Agentとの互換性問題
企業環境でCitrix Session Recording Agent(SRA)を利用している場合、KB5058411との互換性に問題が発生する可能性があります。
特にバージョン2411以前のSRAでは、再起動後の更新処理が失敗し、ロールバックされるケースが報告されています。
これはWindows UpdateとCitrixの互換性処理に起因するもので、新バージョン(2503以降)への更新で回避できます。
VDI環境の運用者は事前確認が必須です。
一部ユーザーから報告されている更新エラー(0x80070306)
Redditなどのフォーラムでは、KB5058411の適用時にエラーコード0x80070306が表示される事例が一部で報告されています。
このエラーはファイル破損またはシステムレジストリの不整合に関連している可能性があります。
頻度は高くありませんが、手動インストールやクリーンブートによる再試行が推奨されています。
エラーが継続する場合は、Windows Updateトラブルシューティングツールの実行が有効です。
KB5058411のアップデートが進まない・失敗する原因
アップデートが進行しない主な原因は複数あります。
以下の要素をチェックすることで原因の特定がしやすくなります。
空き容量不足・古いセキュリティソフトの干渉
Windows Updateの適用には十分なディスク空き容量が必要で、Cドライブに空きが少ない場合、正常に進行しないことがあります。
また、古いセキュリティソフトがWindows Updateの通信やインストール処理をブロックする例も報告されています。
特にウイルス対策ソフトのファイアウォールやリアルタイム監視機能が原因であることが多いです。
アップデート前にはシステムクリーンアップとソフトの見直しを行いましょう。
通信環境の不安定さ・古いPCスペックの問題
不安定なインターネット接続や低速なネットワーク環境では、アップデートのダウンロードや検証に失敗する可能性があります。
さらに、古いHDD搭載PCや低スペックマシンでは、インストール処理中にフリーズや長時間の停止が発生しやすい傾向があります。
特にメモリが4GB以下の端末や古いCPUを使用している場合、処理能力不足による失敗率が高まります。
接続確認とハードウェア要件の確認が重要です。
更新プログラム側の一時的な不具合
ごく稀に、配信されたWindows Update自体に不完全なコードや互換性の問題が含まれているケースがあります。
この場合、Microsoftが後日修正パッチを配信するまで、更新に失敗し続ける可能性があります。
一時的な不具合によるエラーは、時間を置いて再試行することが効果的です。
また、Microsoft公式フォーラムやサポートページの情報も定期的に確認するとよいでしょう。
KB5058411アップデート失敗時の具体的な対処法
万が一アップデートに失敗した場合は、焦らず順を追って適切な対応を行うことが大切です。
絶対に避けるべき行為:強制終了
アップデート中に電源ボタンを長押しして強制終了することは、システムファイルの破損を招く重大なリスクがあります。
更新処理中は裏で複雑なファイル操作が行われており、それを中断するとOSが起動しなくなることもあります。
画面が停止しているように見えても、最低1時間程度は様子を見るべきです。
最終手段としての再起動以外、強制的な電源断は避けましょう。
一度放置して様子を見る
大規模なアップデートでは、インストール処理が予想以上に長時間かかることがあります。
特に旧型PCでは、処理能力の限界により一時的に画面がフリーズしているように見える場合もあります。
最低でも数時間、できれば半日から1日程度放置して様子を見ることが推奨されます。
その間、スリープモードや電源オフが起きないよう設定変更しておくと安心です。
セキュリティソフトの一時停止
ウイルス対策ソフトやセキュリティスイートが更新処理を妨げることがあるため、アップデート時にはこれらのソフトを一時的に無効にする方法があります。
特にファイアウォールやWebシールド機能がWindows Updateの通信を阻害しているケースが見られます。
ただし、一時停止後はアップデート完了後に必ず再有効化してください。
セキュリティを長時間無防備にしてはいけません。
トラブルシューティングツールの活用
Windowsには「Windows Updateトラブルシューティングツール」が標準搭載されており、更新処理に関する問題を自動で検出・修復する機能があります。
設定アプリ内の[システム]→[トラブルシューティング]から簡単にアクセス可能です。
このツールは破損した一時ファイルやレジストリエントリの修復に有効で、多くの一般的な問題に対して有効な手段となります。
セーフモードやネットワーク診断の実施
通常の環境では解決できない場合、セーフモードで起動してアップデートを再試行するのが有効です。
セーフモードでは必要最低限のドライバと設定のみが読み込まれるため、干渉しているアプリケーションの影響を受けません。
また、ネットワーク診断を行うことで、通信の不具合がないかも確認可能です。
必要に応じて「セーフモードとネットワーク」で起動してください。
Windows Updateコンポーネントのリセット
Windows Updateの関連コンポーネントを手動でリセットする方法も、最終的な手段として有効です。
この方法では、コマンドプロンプトを使用してWindows Updateサービスの停止とキャッシュ削除を行い、関連コンポーネントを初期状態に戻します。
作業には管理者権限が必要ですが、Updateに関する深刻な不具合に対しては効果があります。
公式ガイドを参照の上、慎重に操作しましょう。
まとめ
KB5058411は、Windows 11 Version 24H2向けに提供された非常に重要な更新プログラムであり、多数の機能改善とバグ修正が含まれています。
RecallやClick to DoなどのAI機能により、作業効率や検索性が大幅に向上し、さらに安定性やセキュリティも強化されました。
一方で、一部の環境では既知の不具合が報告されており、事前に情報を確認したうえで慎重に対応する必要があります。
アップデートに失敗した際は、慌てず冷静に対応することで、多くの問題は解消可能です。
今後も定期的な更新を怠らず、最適なPC環境を維持していきましょう。